感情偽装による村と狼の票の奪い合い

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この記事では感情偽装論で話した村感情の作り方・狼感情の対応・そして村側の対応の実践例を話していきます。

月狼国M292村:予防の村part3の百千鳥(モモチドリ)と冬至(トウジ)のやり取りに注目して解説してみたいと思います。ログは2020年のものです。

この当時の長期人狼ではロールプレイをしながら遊ぶ方が減っていたのですが、
互いにペルソナを被りながら戦ったという意味で印象深い村になります。
(同時に、もはやペルソナを被る事がないプレイヤーが主流になったと時代の流れを感じてしまいました)

百千鳥(モモチドリ)のプレイヤーが自分で、冬至のプレイヤーには記事化の許可をDMにていただいています。
この場を借りてお礼申し上げます。

記事の特性上ネタバレを含みますのでご了承ください。

襲撃を挟んだ第一声

村の状況

予防の村part3 3日目冒頭より。
編成は物語系列の長期人狼2陣営村としては非常にスタンダードな、
ダミー込み16人の占霊狩3狼1狂村。(いわゆるG編成)

1-2から占がスライドして2-1陣形、スライドした占いが大きく偽視され信用差が開いていました。
2日目に両占い師から黒が出たのち、真から黒判定を貰った狼が狩人回避したため、
偽視されていながらも誤爆があり得るとの事で、もう片方の片黒が処刑となりました。

この状況で想定される狼の襲撃筋は、
狩人狙いを2回行った後真占い師を襲撃し、グレーの殴り合いに持ち込むこと。
あるいは、霊襲撃で信用勝負を挑むこと。
判定の状況は下によります。

占 椎柴(シイシバ) → 黒 埋火(ウズミビ)
藍刈(アイカリ) → 黒 朧月夜(オボロヅキヨ)
霊 星合(ホシアイ) → –

吊         ▽埋火(ウズミビ)

(初日は占・吊ともに存在しないルールです)
ここで、黒視されていた占われていない人物が襲撃されたという状況です。

村人側からの発言

ここで百千鳥(役職は村人でPLは自分)の第一声を見てみます。

ほえーそれはありがたい。
そんな襲撃で大丈夫ですか狼さん。とりま2人に合掌。

こんなん9割9部うーちゃん白出ると思ってるけど。

村人なのでそのまま出してもいいのですが、
自分自身でポイントを押さえつつ発言しています。具体的には、

  • 疑っていた人が人間だと分かった喜びを表出する
  • 襲撃した人が狩人ではないと予想していると言うアピール
  • 襲撃から予想される判定について述べる

の3つです。
また、白アピが通用しなかった場合のセカンドプランとして、
「1-3の理由があった。私にとっては感情出すのも考察するのも変わらないんだよ」と言う理論の展開をして戦えます。
(※言い回しは必ずしもこの通りにはならないですが。)

実際の発言がアピールと言われるような村ではないと見ていましたが、
多少演出過剰でもリスクのない場面でした。

狼の発言

一方で本物の狼の第一発言は以下で、やや反面教師気味です。

澄清を 連れて佇む 白南風や

【非占霊】

面白い事も危ない事も何も無かったです。

発言から視点のみ抜き出すと、「考察に変化はありませんでした」と言う事が主旨になります。
では、前日までの冬至の動きはどのようになっていたでしょうか。

前日の印象1
「椎柴殿視点をそもそも考える気が皆無だった人が占い票ぶっ込んでるのは何故か」
前日の印象2
「その行動にどれくらいの熱意があったかの方が気になります。」からの質問投げ。

この通りです。
よって、この場面は存在しなければならないはずの感情が抜けています。
それは、「偽確定した椎柴の占い先にしてしまった事に対する悔恨」であったり、
「前日に質問を投げていた弥生」に対する印象の変化や感情の動きになります。
(ここで言う「感情」は、「情緒」とは違い、視点情報の変化という意味に近い)

これを反証するにあたって、襲撃への感情の動かなさだけを例に取るならば「単に淡白な人」と言う解釈も出来るのかも知れません。
ところが、直後の占い判定に対する意識の動きは分かりやすく出ています。
熱砂殿白は小生的には助かる部類であります。と。

これは、冬至という狼にとって、襲撃は「自分で決めた予め決まっていた事象」であり、
「真占い師の判定」は自分ではコントロール出来ない情報であるがゆえに、喋りやすさに違いが出てしまったと解釈できます。

感情考察は、「あるべきものがない」だけではなく、「ない事に自然さがある」と言う視点が大切で、これを外すとただの理想像の押し付けとなってしまいます。

感情考察を村に落とすタイミング

感情考察で狼を見つけたからと言って、そのまま落として処刑できるかと言うと多くの場合「ノー」です。
村側は「村の落ち度」として可能性の幅を広く仮定しつつ探りに行くのが基本的な動きです。
逆に狼側は感情偽装の失敗が露呈した場合はいかに「村感情」へ置き換えるかという所がキモになります。

狼感情の村感情への置き換え

この村の中では、狼が自ら百千鳥に対して狼の襲撃想定に対する違和感の指摘を行っています。
(リンク先は返答)
この指摘方法は一般的には効果的な場面もあり、
特に元々「自分は正しい」と思っている「思考を変えにくい気質な」村人に対しては「自分で考えさせられると持論が本人の中で強化される」と言う強い効果を発揮します。
自分はこのような質問の投げ方を「思考のレールを固定する質問」と呼んでいます。と今呼ぶことにしました。

>>26百千鳥殿
単刀直入に本音を言うと、あの弥生殿宛みたいな情報に忠実な単体考察は何処へやら。小生単体をちゃんと見て判断してるんだろうか?というか「またそれか!」と思ったのはあります。

狼目線で言いますと、この状況の灰襲撃って狼にはとんでもなく辛くて悩みどころなんです。だから今日の灰襲撃って苦しんだ末の結論でしょうし、>>0は流石に白アピが過ぎるでしょ…という感情起点の疑いが含まれるのは否めません。ごめんなさい。

小生は「誰が狼でも」「苦しんだ末に」「灰襲撃になる」と考えているとだけ添えます。

これは、狼冬至の「百千鳥は感情的になっている」と言う印象を強化する意図のある発言であると同時に、百千鳥から見ると大きな隙です。
明らかな黒要素ですが、扱いには非常に注意が必要です。

実際の発言は下記です。

>>50 冬至さん
言いたい事はとりあえず理解したし、
たしかに冬至さんの言う通りあたしにも悪い所があったかな。
ごめんね。調子乗る女で。

一旦、和解を取りました。

冬至と百千鳥は偽装感情を使って票のやりとりをしているのですが、
周りから見るとそうではないからです。

例えば、恐らく失敗しただろう言い方をすると以下のようになります。

>狼目線で言いますと、この状況の灰襲撃って狼にはとんでもなく辛くて悩みどころなんです。
誰が狼かによって変わってくるからそんな事分からないよ。
黒視されてる人がLWだったら吊り縄にあげる為に襲撃できないけど、白視されてる人だったら狼の方があたしより上手だっただけかも知れないわけじゃん?
この発言は、自分自身が狼だった時の感情を他の人に置き換えられてない様に思うな。

言わなかった理由は、

  • ゲームという意味で、票を失う可能性があった事(周りの狼想定が冬至よりも弱い可能性)
  • 冬至の弁論もある程度は村に受け入れられていたこと
  • 感情偽装方面からの要素出しが増え過ぎると「多面的に物事を見られない」と言う判断をされ、
    村における自身の発言力が下がるため
  • 村が荒れすぎる可能性への危惧

というような駆け引きが存在しているからです。

この村は数年ぶりの長期人狼で、自分自身トータルで見た時にあまり良いプレイヤーではなかったと思います。
しかしながら、運良くお会いできた人狼側と駆け引きが発生し、考察勝負ではなく票の取り合いをしたと言う意味であまりない村となっていました。
対面・短期ではここまで長くやり取りをすることはありませんが、
基本的な考え方としては同じであると考えます。

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