派手さなんて要らないプレイにおける練習法 ~苦しんで覚える人狼講座1~

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長期でも短期でも音声人狼でも対面人狼でも、
人狼の上達法に関しては共通の点が多いです。

一方で、中々努力のやり方が分からない……と苦しんでいる方も多いと思います。
今回は、「人狼ってどうやったら上手くなるの?」
「今上手な人はどうやって上達したの?」と言う事を、自分なりの考えで書いてみたいと思います。

人狼は、長くやっても強くなるとは限らないゲームです。
しかし、筆者は始めたばかりの時は初回吊りや完全敗北からはじまりながらも
人狼BBS:F(長期人狼)20戦以上のプレイヤーで勝率No.1らしいことと、
長く色んなプレイヤーさんを見てきたので、
それなりの背景がある話だと受け取ってもらって大丈夫です。
(ここの計算方法だと7位だそうですが、ID数が百以上はあるのでいずれにせよ最上位と言っていいでしょう)

それでは、以下どうぞ!

派手さなんて要らないプレイにおける練習法の理念

まずは定義です。ここで言う「上達すること」とは、
村でMVPを取ることや賞賛される事ではなく、ただひたすら結果的な勝率が向上する事、とします。

「強さとは何だ」という事を書き始めると、ブログ記事一本どころか人生をかけて追求するハメになるのでここでは言いません。

基本に忠実に、再現性のある上達を目的とし、個別の戦術論・白黒論については言及しません。
年月が経ったとしても得るものがあると思われる、普遍性の高い文章としてあれれば幸いです。

人狼が上手くなるためには?

他人の動きをよく観察すること

長期で言うならログ読み、対面人狼であればメモや観戦、配信人狼での発言を追う事は大事です。
スポーツで言うなら走り込みみたいなもの。
これを怠ると脳の筋肉が付かないので、どれほど高度なテクニックを身につけたとしても使い切る能力が生まれません。

よく品質管理の世界でPDCAサイクルと呼ばれる手法があります。
しかし、人狼ゲームは決められた時間の中で意思決定(追放、襲撃、占いなど)を行い続けるゲームですから、
OODA(ウーダ)ループ:Observe(観察)Orient(方向づけ)Decide(意思決定)Act(行動)
を意識する方が、より適切な行動に近づくと考えられます。
(知らない人はググってみてくださいね)

正しい要素を覚え、真似る

考察の着眼を養うのが目的です。
全くの初心者で、「何から喋ったら良いのか分からない」人もここから始めましょう。
答えを見た状態で、ひたすら全ログを用いて正解の黒要素、白要素を読みこみます。
もしくは観戦で「狼を疑った人」の言っている事を自分なりの言葉で発言出来るよう咀嚼しましょう。

何故疑ったのかと言う理屈は、ここではあまり重要ではありません。
このフェーズでは、要素を覚え、実践で使う所までを目的とします。
実践で要素が誤った時に、はじめて「何故間違えたのか」深堀りをして修正していきましょう。

参考:

人狼初心者と上級者は別のゲームをしている、と言う話
人狼のレベル感について 初心者 アウトプット:自分の考えが話せない インプット:人外や役職が分からず、根拠があやふや。正解の可能性がランダムよりも低い。 中級者 アウトプット:セオリー、経験に基づいて発言を組み立てられる。 インプット:セオ...

ここでは、「セオリーを覚えるのは本質的な上達ではない」と言う話をしています。

発言の型を覚え、真似る

村において白く見られることが目的です。
勝率が公開されている、長期人狼のBBS形式、るる鯖、
あるいは配信人狼のリーグ戦などで勝率が高い人をひたすら追いかけます。
(2陣営戦の場合は総合で7割以上、3陣営戦の場合は5~6割が目安だと考えられます。)

特に、人狼であるにも関わらず村側だと思われている方は技術で信頼を得ているので非常にオススメです。
対面人狼の場合も、この人の発言は信頼を取っているな、と感じる人の真似をしてみましょう。
主語が大事で、「自分が信頼できる」ではなく「村が信頼している」です。

よく「この人は正しいのにどうして疑われるのだろう」と言う義憤を感じる方がいらっしゃいますが、
一旦「間違っているのは自分のほうだ」と考えてプレイするのが上達の鍵です。

実戦前のトレーニング

シャドウ人狼(村側)

シャドウボクシングの人狼版です。

読んでいる、あるいは感染している村において、「自分ならどのような考察・発言をするか」を考えながら演者の考察・発言と比較します。
そして、さらに進んで、「自分が考察する上でどのような情報が足らないか(質問したいか)」を考えます。
上の2つを「自分なりの発言」として発言出来る所まで落とし込んで考えましょう。

オススメは、自分よりちょっとだけ上手い人を追いかけることです。
大抵、めちゃくちゃ上手い人は参考になりません。
シャドウ人狼をやってみると分かりますが、上手い人は速さ×内容が備わっていると実感できるはずです。

補足ですが、
短期人狼やその流れをくむ音声人狼で「上達はセオリーから覚えろ」と言われがちなのは、
速さについていける事が重視されているからだと考えます。

これに関するらすの意見としては、「やりたい環境によって変わる」です。
特に対面人狼やZoom人狼だと発言ではなく表情や挙動なども要素になるので、
たとえ一切発言しなくとも、ノンバーバルコミュニケーションゲームとして成り立ちます

シャドウ人狼(狼側)

この項目では、特に「襲撃の意図」「村側で滅びのキーマンは誰だったか」を考えるのがメインテーマです。

個人的な意見ですが、自分の上達という観点から見ると、狼が負けた試合を狼視点で読むのは非効率的どころか、退化を誘う間違った努力になる恐れがあります。
人狼は自分で答えを作っていく役職です。
なので、どのようにゲームメイクすれば良いのか、と言う着眼で観戦しましょう。
勝てなかった村は、経過はどうあれ全てどこかで失敗していると考えたほうが良いでしょう。

誘導型の狼が居れば、狼側の発言意図を読み取るのも良いでしょう。
観戦していた場合は村がおわった後GMや参加者、上手いと思う人に質問をしても良いかもしれません。

参考:

人狼の動き方・立ち回り (基本)
ゲームのタイトルにもなっている役職でありこのゲームの華、「人狼」になった時、皆さんはどんな風に勝とうとするでしょうか。 もちろん人狼は心理戦のゲームですから推理の「裏」や「逆」は存在します。しかし、「裏や逆と言う概念」も、表や正道がなければ...
人狼の戦い方 -人狼は仲間が誰かを知っている
人狼の戦い方と役割分担 役職人狼は、他陣営にはない役職特有の有利不利を持っています。 その中で「仲間人狼が誰かを知っている」というものがありますが、今回はこの点から役職人狼を演じ、そして勝つ為の戦い方について考えてみたいと思います。

実際に村に入る

反省の根拠を出来るだけ残す

理想と現実に差が生まれた時に、それを埋めるのは努力です。
客観視の為には、ログが残る場所でのプレイが推奨されます。

ログが残らない場所では他人の意見がある程度客観的な意見として話が聞けますが、
プレイヤー同士の反省会では見えているもの、見えていないものに差が生まれている為注意が必要です。

もし、ログを一緒に検証する仲間がいるならば、それはとても幸運なことです。

また、手前味噌な話になりますが、Zoom人狼やDiscord人狼で、
誰でも参加でき、配信上でログを残すYoutubeチャンネルを2024年に始動しています。
もしご興味があればこちらのチャンネルでの参加も検討してみてくださいね。

配信人狼YouTube本部
Youtubeチャンネル「配信人狼Youtube本部」です。 一般の方へ人狼を遊べる場を提供することを目的としています。 【チャンネル方針】 ・人狼をやりたいときにやれる場所を提供する ・人狼が上手くなるための環境を提供する ・人狼の楽しさ...

自力で達成可能な目標を決める

自力で達成可能な目標と書きましたが、
例えば「話す時は結論から言う」夜時間が終わった後表情を意識し、口角を自然に上げる」「人狼役になったら必ず騙る」「人の話に割り込む前に『大丈夫ですか』と一言言ってから話す」等のことです。

自力で達成可能ではない目標は、他者が絡む全てです。
すなわち、「占い師真贋を間違えない」だとか、「狼で占われない」だとか、「●●さんの人狼を見抜く」などと言う目標は結果に対して自己評価が難しく目標に掲げるべきではありません。
(そもそも最後の要素に関してはメタでしかないため、強く非推奨ですが。)

失敗の原因を切り分け、対策

何か失敗をしたと感じた場合は、原因を下記の順番で検討し、対策をします。

  1. 知らなかった
  2. 知識はあったが、なすべき行動に理解が及んでいなかった
  3. なすべき行動に、間に合わなかった(時間的要因)
    なすべき行動が、上手く伝えられなかった(内容的要因)
  4. なすべき行動に対し、情報に混乱が生じ判断を誤った
  5. なすべき行動がなされていたが、どのみち失敗をした

このゲームはチーム戦なので、どう頑張っても勝てなかった、と言う結論にたどり着く事もありますが、
基本的に他人は変えられないので弱い他人より自分を大切にしましょう。
トライ・アンド・エラーが楽しくなってくれば、あっという間に上達することでしょう!

実際の人狼ゲームでの発言の指針

実際に村に入った時、発言・考察の文章は何を意識しながらトレーニングしていけばいいかと言う指針です。
私の長期の初参加村のF1400村にてフリーデル(zaggieさん)に教えて貰ったことでもあります。

教えて頂いた事を引用しつつ、自分なりの考えを混ぜながら書いていきたいと思っています。
大切なことは以下の3点で、これに対する他人からの評価を達成目標に設定するとよいでしょう。

  1. 発言を分かりやすく、共感してもらいやすく話す
  2. 疑問に思った事はまず自分で考えた上で質問する
  3. 特に実際の吊り占いに対しての旗色は、出来る限り明らかにしておく

以下、具体的に説明していきます。

発言を分かりやすく、共感してもらいやすく話す事。

これに関して、大きく分けて言い方は2種類あると考えています。

論文型文章の型

最初と最後に結論を持ってきます。

例:
ゲルトは黒だと思う。
なぜなら、初日の○○という発言が△△だったからだ。また、2日目でも××という発言をしているが、これは●●と言う狼の意識が現れたものに思えたし、初日の▲▲という発言と矛盾しているからね。
ま、今の所、ここを吊らない未来は見えないな。

良い点:流し読みに強く、結論が書きやすい。論理性の高い文章を書きやすい。理系の人は読み慣れている。
悪い点:「結論から考えている」様にも読め、主張が強くなりがち。

物語型文章の型

時系列に沿って思考を辿っていく。結論は最後のみ

例:
ゲルトが初日に○○って言った時、この人は△△なんだ?って思って気になったんだよね。だから2日目に見てたんだけど××って発言で「こいつ●●か?」って警戒してさ。確認するために初日見たらやっぱり▲▲だったからこいつ狼だと思うし、今日吊りたいよ。

良い点:時系列に沿っていて、共感性の高い話し方をし易い。頭のなかをそのまま垂れ流したような言い回しがしやすい。感情発露を取り入れやすい。
悪い点:途中で共感できなくなると最後まで共感できない。結論が頭に入って来にくいです。

──上の2つの例は、内容としては全く同じ「ゲルトを吊りたい」ですが、
相手に与える印象が変わる事がお分かり頂けるでしょうか?勿論話し方の好みと言うのは人によって違うので、村によって少しずつ変えていきましょう。

いずれの手法を取るにせよ、大切なことが2点あります。
・「○○だから××」と言う、前提→結論は崩さない。
・視覚的に、同じ結論を喋っている部分は固める。(対面人狼であれば、近いタイミングで言う。)

「何故伝わらないのか」を考えることが大切です。
前提の共有がなされていない?話の解釈され方が、物語型で喋ったつもりが、論文型で喋ったつもりに思われた?

──それとも狼だから、曲解しているのでしょうか?

疑問に思った事はまず自分で考えた上で質問する

自分の考えがない質問に応えるのは労力が掛かります。つまり、その分村全体の推理時間が減ると言う事です。

答えが自分の中で出ている場合

答えが出ていれば、「確認なんだけど、自分はこれをこう疑問に思ったけれど、××という事なのかな?」と聞いてみる。

答えが自分の中で出ていない場合

答えが出ていなければ、「自分はなぜ疑問に思ったのか」という点を明らかにしつつ他人に尋ねるようにしましょう。

特に実際の吊り占いに対しての旗色は、出来る限り明らかにしておく

吊り占いに対して「考察したって分からなかったならしょうがないじゃないか」と言う人がいます。
初日占い先や、初日占い無しでの吊り先などでよく見かけられます。

人狼ゲームに村側で参加する際は推理ゲーム、
議論ゲームだと考える人も多いですが、
個人的な意見としては、人狼は厳密には推理ゲームではありません
とにかく狼を吊れば勝ちなのですが、逆に言えば推理で狼を見つけても吊れなければ負けです。

ですから、議論で最も目的に沿っており、大切な事は、
実際の行動に直結する吊り占いに対して意思を示すことと言えます。

考察相手が人外かどうか、能力者なら真贋はどちらかの考えを言うのは大切なことです。
長文考察や長い演説のあとに
結論は分かりません
等と言われた暁には、それを聞かされた相手からすると無駄な労力を使わされたとガッカリする事でしょう。

新しい人、新しい考えは永遠に出てくるから

私自身、2024年時点で人狼に触れてから17年が経ちました。
その中で、いくつかの現在セオリーとされている動きに対しての考案者側であったり、あるいは定番役職誕生の場に居合わせたりしました。飽きてしまった人、やめてしまった人をたくさん見てきました。

もちろん輝く人はいつの時代もいます。
しかしながら、自分自身と比較して上達出来たとか、後から生まれた新しい考えが尊敬できるという実感があれば、少なくとも自分が嫌いになって辞めることは無いんじゃないかなと、そう思います。

今回は、地道な練習法についてのお話をしました。
これを読んでいただいた皆さま、ありがとうございます。
お互いに、次の村では違った自分でお逢いしましょう。

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