感情偽装論 -論理よりも速く伝える合理的なやり方について-

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狼として感情の使い方を考える

狼心理あるある「感情を出すことが出来ない」を克服する方法に関する記事です。
僕が人狼プレイヤーとして最も得意とする分野の1つは感情偽装・感情考察です。
特に長期人狼では長らく第一線であったと自負しています。

この記事を読んで実行する事で、
村でも狼でも「感情が見えない」といういわれのない疑いを避けられる人が増える事を願っています。

そもそも人狼における「感情」って何?

「感情」を辞書的な意味で言うならば、
推理とは関係ない部分である、もっと言うとメタ推理である……という主張をする人もいるかも知れません。
Wikipediaには、下のようなことが書いてあります。

感情(かんじょう)とは、ヒトなどの動物がものごとや対象に対して抱く気持ちのこと。喜び、悲しみ、怒り、諦め、驚き、嫌悪、恐怖などがある。(Wikipediaより引用)

感情が考察とは全く関係ないと言い張り、メタ考察であると言い切るのは簡単です。

しかし、人の心を動かす演技力というのは、技術の1つではないでしょうか。
人の心を描くのが上手な小説家が居て、演技のうまい俳優がいるように、
僕は感情に関わる演技は人狼においても切り離せない要素であると断言します。

人間は感情が表情に、手先に出ます。
そして、同様に持っている情報が文章にすら乗って現れてきます。

「感情演技なんて……」と、なかなか受け入れられない方は、
自分が持っている情報を相手に素早く伝える技術だと思ってください。
論理のように段階を踏まないが故に、直感的に理解される。それが感情による主張です。

感情偽装の意義、ご理解いただけたでしょうか。
それでは、具体的な手法に移っていきましょう。

感情ゼロを無くす

まずは白黒を考察するのと同じように、この発言で私はどういう感情を抱いたかと言う考察をし、それを踏まえた発言をしていきます。以下の例は狼視点です。

×「この村人の私を疑う考察は白いが論理的ではない。」
○「この村人の私を疑う考察は白いが論理的ではない。なので困るな。(説得しにくそうだから。)」

喜怒哀楽に加え、困惑、落胆(ガッカリした)、落ち着かない(不安である)、混乱している――などなど。

もし使うべき言葉が分からないのであれば、
この記事の最後に紹介する辞典などを読んでみましょう。

人狼は最初から答えを知っている役職です。
人間と比べてアクシデントに対しての驚きや反応が出しにくいです。よく訓練しましょう。

感情の強さと方向を設定する。

さて、あなたは感情を偽装するという武器を手に入れました。
しかしその武器はまだまだ小さいものです。
特に最初は「作られている」と言う評価を他人からもらう事になるでしょう。

「受けた感情はどのようなものか」のみのトレースだとそれが「ある」か「ない」かしかありませんね。
言い換えれば方向の情報しか見せることが出来ないのです。
実際の感情には「どれぐらい強く思っているか」と言う要素があります。

例を挙げます。あなたは誰かに疑いを掛けていますが、それはどれぐらいでしょうか。

「黒決め打ち」「黒い」「どちらでもない」「白い」「白決め打ち」
言葉で例えましたが数値化してみるのもいいと思います。

また、「どれぐらいの要素があればその印象は打ち消せるか」と考えましょう。

ベクトルの本数を増やす

上では感情の方向・強さを考えました。
ここからは、いよいよ実践的になっていきます。

あなたは灰やや白位置にいて、真っ白な強村人を襲撃することにしました。
まず襲撃対象に対する印象とその強さはどんな感じでしょうか?挙げられるだけ挙げてみましょう。

白い ( 80/100点 )
ツッコミが怖い ( 75 / 100点 )
騙されているかも ( 10/100点 )

等でしょうか。
もしかしたらその人から警戒されているかも知れませんね。

第一声はどう言う反応をするべきでしょう?
×は第一段階、△は第二段階、○は第三段階です(※あくまでも例です。)
×「白かったから襲撃されたんだね。」
△「白かったから襲撃されたのかな…。鋭かったから残念。」
○「白かったからかな。鋭かったからけど狼だったらってチラついてたからありがたい部分もあって複雑。」

どうでしょうか?
この様に、それぞれの要素の枝を増やしていく事で「生っぽい」感情発露を組み立てていくのです。

時間経過を意識する

本来感情は(当然ですが)以上の過程を踏まえなくても自然と出てくるものです。
偽装する側はそのアウトプットを極力早くすることが求められます。鍛錬しましょう。

また怒りや悲しみなどは時間の経過(長期の夜更新の場合特に、仕事などが挟まりますね)によって薄れていくものなので、それもまた意識しましょう。

感情は自分で説明できない事も多い。

さて、これまで記していない大切な要素があります。

それは感情表現の結論は、ぼかせと言う部分です。
○の例では最後に「複雑」と言っていますが、
あなたは実際は各要素をシミュレートしていますので本当は説明しきる事ができます。

しかし、人は一般的に自分自身の事を客観的に見づらいのです。
特に負の感情表現をする際に、自己分析がしっかり出来ている様な発言をすると違和感に繋がり危険です。
感情は瞬間的に発露するものです。
読み手に想像の余地を与えつつも、なるべくシンプルな単語を出すようにしましょう。

自分自身の感情への結論をぼかす事で「他人の評価に合わせた感情偽装をする狼なんだ」という解釈をされない事を狙います。

なお、逆に村側の立場として考えた場合、
「怒りが響いてて冷静に判断できない」と自分で言っている人が居たらやや警戒対象です。
多くの場合、怒っている自分を自覚していれば人間は自制することができるからです。

感情は本当に出したもん勝ちか(村側の感情推理)

ここまでは狼側の話です。
ここからは村側として「負感情を白要素に取ったらゲームが面白くなくなるのでは?」という怖さを持つ人向けの話。

負の感情偽装の効果を打ち消す動き

狼の行う感情偽装は一言で言うなら「追放を間違えるため」です。
目の曇った完璧ではない村人を演じて誤った追放を行う理由付けにしたり、あるいは誰かに自分を守ってもらいます。そこには何らかの行動理由があります。

よって、村側が取れる対策は基本的には感情を出している人物を村側前提としてなだめ、
前向きに追放を行うよう接する事しかありません。
「本人の主訴を認める(理解を向ける)→前を向けさせ、村に貢献させる」という方向です。

愚痴に傾聴し、相手の世界観を一旦認めた上で解決策を引き出すイメージで対応しましょう。
ただし、対応する時間が足りない場合があります。村の空気も悪くなるかもしれません。
その時には、何を優先するかの駆け引きが生まれます。

これを上手くやれば、狼の感情偽装を剥がすことが出来ます。
「上手く動けてないから助けてあげないと」という空気から、
「周りの村は助けてあげているのにどうして○○(感情偽装を行っている人物)は前向きに動こうとしないんだろう」という認識に村を変えていきます。
感情偽装に支配されない考察で狼を吊る事が出来るのです。

村の空気をよくすべき

上では対処を考えましたが、
そもそも感情偽装をしなくて済むような村の空気にするべきです。

上では「村に貢献させる」と言いましたが、
相手の推理の世界観を汲み取り、自分の常識を押し付けない。キレない。無闇に割り込まない etc…
普段から村側には必要とされる動きであると思います。

その上で「演技もまた技術である」と言う前提をもって、
好敵手たる人外陣営と楽しくゲームをプレイしましょう!

参考文献

感情類語辞典、トラウマ類語辞典

語彙力を鍛えるための本としての活用が主ですが、
物語を書く人向けに書かれているためシチュエーションの訓練にも。
文章書きのための本でありながら普段の発言にも役に立ちます。
 

魂の演技レッスン22 ~輝く俳優になりなさい!

この本は「感情偽装論」を書いたあとに読んだのですが、おすすめです。
観る人に想像させる訓練をしましょう、演技の筋肉を鍛えましょう、
説明をしてはいけませんと言ったところ等共通するところも多く、この記事よりも学ぶところが多いのでぜひ!

村の不和を生む「共感」のズラし方

参考文献というより内部リンクですが、ぜひこの記事と一緒に読んでください。
実践すれば、感情と非共感を駆使して白い村を黒くできる……かもしれません。
村の不和を生む「共感」のズラし方

 

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