人狼の推理、効果の検討方法

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人狼SNS、と言う招待制のコミュニティサイト(昔のmixiみたいなイメージ)があり、そこでは人狼PLが色んな戦術論を日記に書いたり、議論したりしているのですが、そこで猶庵さんと言う人狼PLが、考察について〜感度・特異度の話と言う面白い日記を書いていました。

本来であれば、リンクを貼って紹介したい所なのですが、サイトが招待制ですので、ご本人の許可を得た上で引用しながら、私の方でもこの話について考えてみます。

(2019.01.20 人狼SNS閉鎖につきリンク解除)

考察方法の評価:どれが有効なのか

引用

考察について:感度・特異度の話
はじめに結論を言うと、ご自分の考察法を幾つかの方法にカテゴライズし、そのそれぞれの精度を調べてみてはいかがだろうかという話。

(中略)

とにかく何でもきちんとした基準に基づいて考察法を定義し、その定義に基づく各考察法の感度, 特異度を調べてみれば、複数の考察を組み合わせた時の結論の信頼性が分かるのではないかと、そういう話

ここで注意してほしいのは、飽くまでも、まず出すべきは感度, 特異度であるということ。

つまり、ある考察において狼と判定した相手が本当に狼だった割合(つまり自分自身の判断の正確性)を集計するのではなく、

・ある考察によって全狼のうち幾頭を狼と判定することができたか(真陽性)
・幾頭を人と判定してしまったか(偽陰性)
・その考察によって全人のうち幾人を人と判定することができたか(真陰性)
・幾人を狼と判定してしまったか(偽陽性)
を集計し、感度, 特異度を算出する。

と、猶庵さんは述べている。
人狼の世界は今、強さへの答えに対する共通の認識がない(≠答えがない、である事は補足しておく必要があると思う)ので、「強い人が言う事なのだから正しい」ぐらいしか手かがりがないと言う人も多いだろう。

この様な情勢の中で、特に感度・特異度の話を援用すると有効と思われるのは、「間違った反省」を防ぐことが出来ると言う点ではないだろうか。

例を挙げると、同じ失敗を繰り返す人の中で、以下の様な反省をする人がいます。

『とあるAと言う考察で狼と判定した(=陽性であった)中で、Bと言う考察では人と判定できた(=陰性であった)』と言う事実があった場合。

AとBどちらか「しか」あっていない――
例えば、とても真らしい占い師が居るにも関わらず、占ローラーをし、最終的にグレーの狼に逃げ切られた時に、「占ロラを主張するのは狼だから、これからは絶対に占は決め打ちしよう」という風に「学習」してしまう、と言った具合に。

そして、その様な学習をする人が多いと、今度は何でもかんでも占決め打ちとなってきます。
そこで誤りに気づけば良いのだが、中級者の中には下手をすると、自らの考えに従わない他人を「定石を分かっていない」として評価しはじめる人もいます。
一度こう考えてしまうと、あとは自分の中で完結してしまうので、個人の成長は止まってしまい、その上で戦績を重ねれば立派な老害PLの出来上がりです。

実際は、個々人の経験や価値観によって考え方は異なる。なので、「間違えた」あるいは「間違えさせた」本当の原因は、少し考えただけでは分かりにくく感じられる場合の方が多いのではないでしょうか。

いずれにしても、真因は何だったのか。
それを見極める必要があります。例えば上の例なら占ロラを主張する人狼(真陽性)と、占ロラを主張する村人(偽陽性)、などの統計を取ってみると、一見因果関係のありそうな考察は、実は意味がないものだった、と言う事に気づくことが出来るかもしれません。

組み合わせる事で精度を増す考察の検討

下の様に考えてみることも出来ます。
「Aと言う考察方法で引っかかる人のうち、Bという考察方法で引っかからなかった時、村人の確率は90%だ。」と言う統計が取れたとする。

これは実戦では、例えば人物像考察での組み合わせに使ってみる事が出来ます。
「たしかに論理的な発言をこの人はしていないので、矛盾した事を言っている。しかし、この矛盾がある事でこの人は人狼として何も得をしていないので、この人は村人だ。」

この考え方は、逆に、それぞれの考察方法単体で引っかけることが出来ない人狼を引っ掛ける時にも使える。
「Cと言う考察方法で引っかからなかった人で、Dという考察方法でも引っかからなかった場合は、人狼の確率が90%以上だ。」
の様に。

概念的な話になってしまう事を許して頂きたいが、例えば
「〇〇さんはここでこの様な見落としをするのは人狼として手落ちなので村人だと思える。しかし、同じ様に考えることが出来る××の様な場面ではきっちりと考えられているので、最初に言った場面では白アピールのための発言をしたと考えた方が自然だ。」

と言う、考察の展開になるでしょう。

実用には厳密な確率は必要ない

さて、ここまでの話ですが、実際の運用に多くの試行回数が必要かと言うと、そうではありません。
目的は、あくまでも厳密な確率の運用ではなく、有用な考察、狼を当てる方法の発見ですので、主観的な確率(たとえば、何となく怪しいと思った、とか)でも全く問題なくこの考え方を適用出来ます。

ベイズの定理を用いた主観的な確率(可能性)の評価……と言う話もあるのですが、これについては、また別の機会に。

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