人狼における盤面操作のやり方(基礎編)

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意見の相対化の果てに

人狼は、多数決で処刑が決まるゲームです。
これが意味する事は、例えば詰む進行があったとしても、その理由を過半数が理解できない、あるいはそれを選択しなければ、どれだけ戦術理解度が高くとも勝ちには至らないという事です。

また、ある人にとってどれだけ人狼が黒く見えたとしても、それが説得出来なければ意味のない事なのです。

今日は、この人狼の特徴を、どの様に生かしていくかと言う話をしたいと思います。

人狼は答えを全て知っていれば勝てるゲームではない

対面人狼において、夜時間に目を開ける事は最も重大な禁止事項の一つです。また、長期人狼でも過去に複数IDによる入村があり、BANされる事件がありました。

余談ですが、自分の主催する岐阜人狼会などでは見つけ次第出入り禁止とします。誤って目を開けた方は素直に手を上げて廃村として下さいね。非常に残念な事ですが、これまで東海圏の人狼会で、数人の違反者が発生している様です。

さて、思い返すと自分も過去に違反者と同村した事があった様なのですが、確かにその人は村側で初日から狼を指摘していましたが、複数回、自分が人狼の時にその人の事を吊り返していました。
この事からも分かる通り、答えが見えているだけ、正しい事が分かっているだけでは、勝てないのが人狼なのです。

意見の前提は省略されている

感じ方は参加者の数だけある

村の不和を生む「共感」のズラし方で書いた通り、白い、黒いの意見は基本的に参加者の数だけ生まれます。
数多くの意見を村の議論と言う形で叩き台を作り、多数決で吊りを決めていくのが村です。

主観推理

ここで言う主観推理とは「君の中ではそうなんだろうな……。」と言う意見を指すこととします。主観推理の場を、他者にどの様に納得させるのかと言うと、

  • 視線を集め、他の人にも同じ感想を得てもらう
    表情考察などの基本思考が近い場合には、票集めに有効です。しかしながら、センサーの働きが人によって違うので、有効に働く場は限られるかも知れません。
  • アクティブソナーとしての対話を行い、他の人にやり取りを見せる
    味方を増やしつつ相手の反応を見て、吊りたい所を吊る為の行動になります。相手の反応を想定して、目的の意見を引き出すような対話をしていきましょう。
    (難しいかも知れませんが、これが非常に重要な技術のうちの一つです。)

効率的な議論と裏返しの、「分かったつもり」現象

さて、日本語に限らず、英語なども、何かを説明する上で自明のことは省略されがちです。
省略されないにしても、よく国語のテストで「それ」の指す内容を××字以内で答えなさい、と言うような問題、ありましたよね?
これも、日本語において、適度に前提を共有した上で話す事と、共有されている前提がきちんと読み取れる事が、文章や会話の読み取り能力として、意識する、意識しないに関わらず重要であると言う事の一つの例と言えます。

例えば人狼の村中においては、「自分は村側だから」は自明ですし、占い師なら「自分が真占い師だから」も自明です。よって、いちいちこの様な前提でものを話す人は、認識として「真占い師や村側でない自分」を持っていると言う事で、やや騙り、人外の可能性が上がると言えます。
時には、偽視点が意識から漏れた説得をする事で、真視点漏れとも言える現象が起こります。

話を戻しますが、前提の共有の早さ、例えば戦術理解度が、議論の早さへと繋がると言えるでしょう。しかし、前提の共有が進んだ村では、特定のキーワードや身振りのみを使って、あたかも同じ意見、あるいは自分にとって都合の良い意見を持っていると、複数の聞き手に解釈させ、かつ相手によってその内容が異なると言う人外の動きが可能になります。

この現象を用いて上手く濃淡使って戦っていく事で、最終日に目的とする人を残したり、個人にラインを繋ぎつつ自分は庇護者を増やして自分より先に吊らせたり……と言う風に動いていきます。

必ずしも直接触る必要はなく、対話からの玉突き的な動きを読んで、2人以上を介した印象操作も、読み切れれば可能です。

意見の違いが、人狼の盤面を作っていく

上で話した様に、他人や自分に対する白黒判断をコントロールして行くのが、人狼における盤面操作と言えると思います。
白黒将棋や囲碁で、不利な時はマギレを求めて場を荒らしますが、その様な盤面は地力、実力差が出ます。
あるいは、有利な時は整えて、勝ちへの流れをブレさせない――こう言った観点で、ゲームメイクをして行くのも、人狼の面白さの一つだと思います。

さて、今回は、盤面操作をするに当たって、なぜ盤面操作と言う戦術が実現可能なのかと言う事をお話ししました。

村の中で起こっている現象の理解の助けや、人狼の動きのアイデアの一つになれば幸いです。

もう少しだけ具体的な手法もありますが、それは別の機会にしたいと思います。

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